さよならを辿って
「それは多分ドライコースなんじゃないかなあ」
お隣の彼は、洗濯機に詳しいようだった。お気に入りの白いシャツがシワになることを相談したら、彼はそう答えた。
「あれだよ、おしゃれ着用っていうのかな。普通コースよりも、優しい?っていうか?なんていうかねえ」
今度彼にちゃんと教わろうと思った。一人暮らしの彼は、家事を全て自分でこなしているようだった。インスタントで済ましてしまう僕の生活は、いつから色を無くしてしまったのだろう。
「洗濯でも掃除でも料理でも、それぞれに色があるよねえ。日常に色を落とすのは、決して虚しい事じゃあないよ。1人だろうと2人だろうと、ね」